東京からの帰路にて。

 

開園記念日で入場料がタダになるということで、いつになく関西下町根性を発揮し、上野動物園にも行ってきた。小さい子連れのファミリー、仲良しグループの中高生、多種多様なカップル、おばちゃんグループ、外国人観光客、めずらしいところではリクルートスーツを着た就活生グループなどでごった返し、もはや動物を見ているのかヒトを見ているのかわからないくらいだった。その時はさほど気に留めていなかったが、いま思い返すと、海獣がかわいかったような気がしてきた。ハシビロコウの檻周辺だけ、なぜかしら、オタクと思しき集団に囲まれていた。

 

後半は郊外に住む友人の実家で過ごしていた。こだわりの麻婆豆腐(とてもおいしい)をごちそうしてもらったり、ぼくのうちには置いていないゲームをやったりして気ままに3日過ごした。スマブラシリーズにおいて、ぼくは未来永劫にザコプレイヤーの域を出ないと悟った。

 

帰り際に新宿で新しい小説と、試みに立ち読みして漠然と面白そうな感じのした英語史の教科書とを買った。店内をぶらぶら歩いて目についた本を立ち読みして、買う。この流れはネット通販ではいまのところ再現されておらず、店頭販売ならではの趣があり、街中での時間つぶしに適している。

 

書いているうちに家についてしまった。東京は楽しかったが、家に着くとやはりほっとする。今日はゆっくり寝られる気がする。

東京にいる この後帰る

東京にいる。


待ち時間に八重洲ブックセンターをぶらぶらしていたら『認められたい』を見つけたので買って読んだ。自分としては所属欲求の守備範囲の広さが目新しかった。全体を通して目から鱗が落ちるような話というよりは、なんとなく感じていたことがわかりやすい文章によって意識させてくれるという風な内容だった*1。だからこそ安心して読めたし、いつでも座右に置いて心に留めておきたいと思わせてくれる1冊だと思った。


ドコモの「自転車シェアリング広域実験」を試してみた。これはユーザー登録すれば都心部に偏って遍在する*2ポートで電動自転車を乗り降りし、後日利用分をクレジットカードで支払いできるというサービスなのだが、低料金の割に自転車はよく進んで爽快感抜群でなかなかよかった。唯一ケチをつけるとしたら、エンターキーが「入力確定」ではなく「返却手続き」のボタンになっていて紛らわしい*3ことと、自転車に乗り慣れない連れが車道から歩道に乗り上げる際にこけて怪我をしたことくらいであろうか。


その電動自転車で東京タワーへ行った。いまやスカイツリーの展望デッキの高さ350mに、全長333mを抜かされてしまった東京タワーだが、クラブ333をはじめとしたイベント作りに東京タワースタッフの努力が垣間見えた。観光地としての価値はまだまだ残っていると思った。


この後帰る。

*1:これはぼくがシロクマの屑籠の愛読者であることや、自分もまた先生の見つめる時代の一部であることによるのかも知れない

*2:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区ではあちこちに設置されているが、その他の地域にはない。いわゆる「まれによくある」と同じパターン

*3:パスコードを入力して利用したときに、誤ってエンターを押すと「借りた瞬間返した」と見なされる。このために苦労した

ぼくは男でも女でもないとかいうわけのわからない、しんどいことを書こうとして、一向にまとまる気配のないまま数時間を無駄遣いしてしまった。多分まだ熟しておらず、したがって書いてやろうとこだわらない方がよい話題であるようなので、事実を淡々と述べて終わる。

 

昨日はちょっと上等な地酒をのみつつ夜更けまでトランプをやって、起きてみると、天気がよかった。バイト帰りに買ったケーキがまだ冷蔵庫に入っているのを思い出したので、いまから食べようか迷っている。

 

ありがとうございました。

思いつきで自宅のWi-Fiを設定してみたらうまくいった。もとの機械にルーターを接続するだけで繋がった。長年失敗し続けてきたのがうそのようだ。いまもそのWi-Fi経由でブログを更新している。

 

昨日は「その時のノリ」としか言いようのない軽い動機で大文字山に登頂した。こちらも入学当初より、不到"大"字非好漢、いずれ登らねばならぬと決めていたことだったが、無精がたたって長らく実行にうつせずにいた。

 

送り火を焚くところから、北は岩倉、南は京都駅付近までを一望できることに驚いた。それはGoogleマップの街中視点と俯瞰視点のいずれとも地続きのおもしろい光景だった。山にほめられた。夕焼けでも見ようかとのんびりしていたら、いよいよ雲行きが怪しくなり、どうもこれから雨が降るということがわかったので焦燥気味にひょいひょい降りていたら、途中何度か足を滑らせた。山にたしなめられた。雨にも降られた。

 

ずいぶん暖かくなってきた。そろそろ外で体を動かすようなアクティビティをしたい。釣りとか、自転車とか。家にこもってばかりいると、春の陽気がもったいない。

今日はTOEICの受験に行った。昨日のしょうもないエントリを書くのに夜中の数時間をつぶし、そのままなんやかやで朝を迎え、それでもなんとか1時間だけは眠った。こういうときはかえって眠らないほうがマシなのだろうか。


試験会場までの道中、なんと筆記用具を持参していなかったことに気がつき、開始10分前に会場入り口に到着するなり、あわててコンビニの場所をたずねたら、鉛筆2本と角の整えられた小さい消しゴムを貸してくれた。感謝である。


結果は、思わしくなかった。初心者にありがちな(実際初受験だが)間違うことを恐れながらゆっくり解いていたら最後の10問ほどに手をつけられないまま終了を迎えるというのをやった。もっとも、速く解いてきちんと正答できたかどうかは怪しい。とにかく、今度の結果はいまの実力として真摯に受け止めたい。近いうちに再挑戦する。


帰ってからもうひと眠りし、夕方ごろに起き出して、久しぶりに数学をやった。ふと思いついて、数年来使ってきたプラスチック製のシャーペンのクリップをえいやと折った。紙ヤスリがなかったので、包丁研ぎの余白で断面をまるめた。芯の接触面をコントロールしやすくなり、ずっと便利になった。


クレジットカードとAmazonプライムの組み合わせの強さに飽き始めていたので、こういうアナログな生活の知恵を絞ることも、たまには快い。

わるいチーズケーキ

今日は賃金の高い方のバイトだった。賃金の高い方のバイトは、いまのクライアントとは大抵週に1回、決まった時間にある。内容も、まあ、クライアントによるといったところだが、いまのクライアントとのセッションは特に楽しいものだ。バイトと呼ぶのも野暮な、週に1回のわくわくタイムとでも称すべき貴重な時間だ。そのクライアントとの交流は、ぼくの心を若返らせてくれる。クライアントも、きっと、そのセッションを有意義に感じてくれているという。それはぼくの手腕でも、クライアントの世辞でもなく、窮極のところ相性なのだと信じている。こう述べていると、昨日の今日ということもあって、いよいよ告白しづらい仕事の連想をかき立てるが、さにあらず。単に、契約やら、義務やら、社会規範やらにふれぬよう、大事をとっているだけのことである。ただの神経過敏である。

 

帰りは夕方ごろで、いつもチーズケーキを2つほど買って帰る。もうすっかり癖になってしまった。メープル風味のチーズケーキが好物なのだが、来るころには大抵売り切れてしまっている。それでも他のケーキもおいしいので、不平は言わずに買って帰る。そんな事情を知ってか知らずか、帰り際に店主は「いつもありがとうございます」と言って、ぼくの気持ちを上手に膨らます。

 

夜中の1時だが、これからそのチーズケーキを賞味する。太るぞと止めても無駄である。ああ、なんと罪作りな、業の深い味。

飛田一夕物語

大阪は西成、関西の肝に、飛田新地という料亭のたくさん並んだ区画があります。その料亭の入口に、別嬪さんと愛嬌たっぷりのおばちゃんが大抵ふたりひと組で座っており、おばちゃんのほうが「おにいちゃん、こんな可愛い子、ほらこっち見たげて」と、どうやら仲居さんを務めてくれる別嬪さんを頻りに宣伝してくれます。さすがは関西で最も名の高い料理組合、いまさら料理の味についてうんぬんするのは二流というのでしょうか、なれば仲居さんのサービスにおいて勝負せんと言わんばかりの意気込みに、ぼくのような素人は、ただもうひたすらに圧倒されるのであります。


しかし、ぼくとてこのまま引き下がるわけには参りません。今日飛田新地を訪れたのはほかでもない、血気盛ん、食欲旺盛なる同志ふたりが腹一杯に大阪のうまい飯を食いに行く、その見送りのためなのですから。ぼくはいいんです、遠路はるばるやってきた同志たちが腹一杯になることが重要なのですから。


全てを見て回るのに小一時間かかるほどにたくさんの料亭が並んでいますから、さすがの腹ペコ同志ふたりもどこで食事をとろうか、迷いに迷っていました。これは彼らふたりに限ったことではなく、飛田を訪れていたほかの青年たちも同様でした。なぜなら、料理組合は一律20分16000円*1という関西随一のプライドの垣間見える値段設定でありますから、いくら年頃の食いしん坊でもおいそれと決めて入ることができないという消極的な理由がひとつ。いまひとつ、積極的な理由には、ぼくたち一行が料亭の前を通るたび店先の仲居さんがニッコリ微笑んで手を振ってくれる……それだけで寒空の底にほの明かりのついたような気持ちになる、ということもありました。


それでも彼らはついに腹をくくって行きました。そして送り出すとき、なぜか知らん、「がんばって」という応援の言葉が自然とぼくの口をついて出てきました。


ぼくはいいんです。その日、飛田へ来ることになるとはつゆ知らず、朝っぱらから浅ましく自分ひとりでお腹いっぱいになってしまっていたのですから。何よりも、そんな高級料亭でいただいてきたなんてことが知れたら、東京から雷を落とされるに決まっているのですから。「へえ、東京に来る金はあらへんけど、豪勢な料亭に行く金はあるんやね」


ぼくは彼らを送り出してから、苦労の染みた作業服を着たおじいさんたちとすれ違い、すれ違い、商店街を通り抜け、動物園前のファミリーマートまでやってきました。150円のカフェラテを注文し、せめてもの奢りにキャラメルソースをふた回しかけ、かき混ぜました。出てきた直後は純白だったふわふわの泡がだんだんと弾けて、残った泡も茶色味を帯び、やがて均一なコーヒー色になりました。そうして店を出て、南の、料亭のある方を眺めつつ、はじめから少しぬるい自分だけのキャラメル•ラテをすすって、ぼくもなんだか彼らと一緒に満たされたような心持がしました。

*1:店頭でおばちゃんと関西弁で交渉すると、値引きしてもらえたりする……こともあると聞きます