北朝鮮レストランに行けばすべてが解決する

北朝鮮国内で生公演をきくのは難しくても、国外の北朝鮮レストランで給仕のお姉さんに歌ってもらうことはできるのではないかと思いついて調べてみた。デイリーNKによると、1曲だいたい1000円弱で歌ってくれるらしい。お姉さん方はみな音楽大国北朝鮮の音大卒のプロであるわけだから、厳しい訓練によって身につけられた専門性への対価だと考えるとこれはまったく安い。

 

北朝鮮レストランが盛況な理由 | DailyNK Japan(デイリーNKジャパン)



実際に店を訪れた人のブログにおける報告を見ていると、客の好みや文化的背景に合わせて中国語の歌やら日本語の歌やらを歌ってくれるらしいので、北朝鮮の歌ならきっと歌ってくれるはず(だし、実際に歌っている動画を見た)。ただし、店内に客が少ないと歌ってくれないこともあるという情報もあったので注意は必要そうだ。歌ってもらうためには最悪の場合、何度も訪れて団体客が来るまで待たなければならないことも想定される。一見さん向け、観光客向けビジネスにつきお値段は高めなので、なるべく空振りは避けたい。

 

ぼくがリクエストするなら、まず「この地の主人たちは話す」は外せない。歌詞もメロディもストライク。それから有名どころにはなるが、「我らは万里馬騎手」やら「走って行こう未来へ」もいい。きくと元気のでる応援歌だ。加えて「轟かせていこう天下第一強国」も捨て難い。ちょっと強そうなお姉さんに「我らを羨め」をつんと歌ってもらうとピリッとしそうだ。古いところでは「我らは革命の継承者」がよくて、これについては「首領様のために、将軍様のために」の部分が「我が党のために、革命のために」に変更されている青峰楽団版の歌詞が気に入っている*1。東京の朝鮮学校(チョソンハッキョ)の学生が、なんと1984年に合唱している動画もあった。


ところで朝鮮学校ではいまどのような音楽教育がなされているのだろうか。もし一般向けに文化祭やら合唱の発表会などを開いているのであれば拝見してみたい。


軽やかな「飛行士の歌」もシンプルで素敵だ。「我らの翼の上に太陽があり、我らの翼の下に平壌がある」だけで(陳腐かも知れないが)詩になってしまうので、青空をゆく飛行機系の歌詞はまことにずるい。いや、大空を舞台とするならばむしろシンプルでこそあるべきか。雲の上に広がる澄んだ世界へは、なるべく心の持ち物を少なくして行かなければならない。

 

(2017/8/23 追記 「太陽」北朝鮮では金日成の象徴に用いられるので、ここでも実際の太陽だけではなく、暗に金日成を意味していると解釈すべきだということに、ニコニコ動画のコメントを見ていて気がついた。してみると、この二重性が詩に厚みをもたらし、東アジア的な味わいが出てくる)


ポエマー性を発露してしまった。元へ戻る。個人的には「攻撃の勢いで」(通称「攻撃戦だ」俗称「コンギョ」)も悪くはないが、これについてはただ歌ってもらうより自分もマイクを握ってデュエットさせてもらいたい、歌ってナンボのカラオケ曲だと認識している。


他にもいろいろ思い出深い曲やらなんやらあるが、今日はもう遅いので寝る。

*1:個人的には、個人崇拝的な要素が混ざっているのはかまわないが、それがテーマとして中央にボンと据えられているとちょっとげんなりする。それよりは人民が主人公として描かれている歌詞の方が好きだ