はじめてのジム

このごろトレーニングをたしなんでいるというニケの友人とそのトレーニング仲間について行く形で、学校附属のジムにはじめて行ってみた。しっかりスポーツウェアを着用している体育会会員や、ラフな格好だが屈強そうな留学生が出入りする中で、自分ひとりだけ運動というものを知らないような普段着でやや気後れしながら、レッグカール(両脚を曲げて太ももの後ろを鍛える)、レッグエクステンション(両脚を伸ばして太ももの前を鍛える)、ショルダープレス(肩周り)、チェストプレス(大胸筋)、ラットプルダウン(引き下げて背中を鍛える)をひととおり体験した。そのうちに自分のジーンズ+伸縮性ゼロのシャツの組み合わせも気にならなくなり、小休止してから開き直ってエアロサイクル(こいでも進まない自転車)をこいだ。

 

こぎ始めたところで、横から友人たちに「パワー400出てる、さすが」とおだてられ、調子に乗って全速力でこいだ。だいぶばててきて、もうどれくらいこいだかなと思ってモニターを見ると、距離700mとある。

 

なんでや、うそやろ。

 

外大の友人には「お前、体の末端まで神経行き渡ってないよな」とあおられるような運動神経をしているし、スタミナも大してあるほうではない。小6のときに校内のマラソン大会で6kmを走ってゴールしたときに渡された札が11でぎりぎり入賞を逃したことを悟り、なみだがこぼれたのを覚えているが、全盛期でせいぜいそんなところである。それでも、ぼくにだって、2度の琵琶湖北湖一周を成し遂げ、1泊2日ママチャリ100kmの旅を走破したという矜持がある。せめても1kmまで行かずにギブアップする道はない。

 

やっと1kmこぎ終えてエアロサイクルからすべり降りると、意識が朦朧とする中で、突如猛烈な吐き気に襲われた。この感覚は知っている。「目が覚めて二日酔いを確信した朝」だ。酸素と二酸化炭素血中濃度比が逆転していた。そのまま床に倒れ込んだ。再び歩けるようになるまでに1時間を要した。

 

二度とジムの自転車になんか乗るか。

 

といいながら次回乗るまでの時間を求めよ。