将来のために保険数学を勉強してみようと思い、附属書店で教科書を買った。帰ってから袋をひっくり返すと教科書のほかに、なぜか小説がゴロゴロと4冊出てきた。

 

ちゃうねん。前まえから気になってたけど『葬送』シリーズってぶっといのが4冊もあるから、勢いで行かななかなか買えるもんやないやん。

 

言い訳未満の言い訳(ill-defined)だが、そういうわけで預金残高の危機をかえりみず、つい手を出してしまった。

 

数学科4回生対象の講義には、あまり見覚えのない人がたくさんいた。そしてぼくもまた多くの人にとって「見覚えのない人」のうちのひとりだったに違いない。

 

ああ、しかし、本当に最終学年になってしまった。この3年間一体なにを学んだというのか。いや、過ぎたことはもうよい。これからの半年を本気でやっていかなければ、ぼくが葬送されてしまう。アクチュアリーをとって、もう少しまともな武装をしてから社会に出る。数学バリバリマンにはなれそうにないので、せめて手に職を……。