君は共依存の気があるフレンズなんだね!

サークルにひとり、ぼくと雰囲気の似ているメンバーがいる。彼はぼくよりももっと社交的で、ぼくよりもおしゃれで、ぼくよりも恋愛経験が豊富で、自分の欲する恋愛がいかなるものかきちんと把握しているが、言葉の端々から、他のメンバーとの関わり方から、ぼくと同じく他者の人生への興味を強く持っているということがうかがい知れる。ぼくの来し方を話してみると、やはり興味を持って傾聴してくれた。すぐに打ち解け合って、ぼくにとっては彼はいちばん仲のいいメンバーとなっている。


程なくして、彼は"そういうタイプの子"と親密な関係になりつつあるということが発覚した。知り合ってからしばらくして、男性依存癖、拒食症、リストカット、そういうものを丸ごと吐露する彼女のブログを見つけてしまったのだという*1。ぼくは、そうか、もう来たかと思った。彼もまたいつかこういう場面に直面する日が来ることを漠然と予想していた。ぼくは彼の話を聞いて、可能な限りの助言をした。もっとも、彼は以前にも恋愛・交際経験があるという点で、高校時代のぼくよりも経験値において恵まれている。彼は土曜日にデートに行くことになっていると言っていたが、どうだったのだろうか。彼はきっと大丈夫だろう。経験豊富で聡明な彼のことだから、たとえぼくと出会っていなかったとしても。


ぼくは、ぼくの中に誰かを本当に助ける力があるとは信じていない。助かる者は自ら助かるし、助からない者はどのみち自滅する。運命の人とかいう言葉も、(信じている人には申し訳ないが)ぼくにはちょっと耳障りだ。ぼくは高校生のある時期に、たしか『アンネの日記』に触発されて、日記をつけ始めたことがあった*2のだが、いわば「例の彼女」に見つかってから、1984よろしく監視下におかれることになった。日記は定期的に検閲され、継続して書くことを推奨されていた。その日記の見返しのところに、「例の彼女」は油性インクで落書きして、「あなたは運命の人」といったようなことを書いたりRad Wimpsの何やらの歌詞を書き写したりしていたり、真ん中の上の方にピンク色のぎらぎらしたハートマークを描いて、その中にぐりぐりと黒太文字で「」という文字が加えていたのも覚えている。その日記は、おそらく捨ててしまったためにいま手許にはないので、正確なことはわからない。彼女がいまどこで何をしているのか、真の「運命の人」とやらに出会えたのか知らないが、あれだけおのれの不幸を嘆いていても、助かっているとすれば自力で助かっているだろう。

 

この世の掟は、自分の力で生きること。サーバル任せじゃダメよ。

*1:男性依存癖も拒食症もリストカットも、決してそれ自体が直ちに人間性を損なう行為とは思っておらず、したがって、それをもってぼくは当事者を貶めることはしないし、そういう趣旨で書いているわけではない。しかし、人の性質・属性の中には、健全な形で共存するのが困難な組み合わせというものが存在する。それはただ単に互いに相容れない、相性が悪いということではない。むしろ相性のよしあしで言えば「よすぎる」というべきで、それは危険なほど強力に惹かれ合う、爆発的な「化学結合」なのだ

*2:いまつけているものとは独立している