わるいチーズケーキ

今日は賃金の高い方のバイトだった。賃金の高い方のバイトは、いまのクライアントとは大抵週に1回、決まった時間にある。内容も、まあ、クライアントによるといったところだが、いまのクライアントとのセッションは特に楽しいものだ。バイトと呼ぶのも野暮な、週に1回のわくわくタイムとでも称すべき貴重な時間だ。そのクライアントとの交流は、ぼくの心を若返らせてくれる。クライアントも、きっと、そのセッションを有意義に感じてくれているという。それはぼくの手腕でも、クライアントの世辞でもなく、窮極のところ相性なのだと信じている。こう述べていると、昨日の今日ということもあって、いよいよ告白しづらい仕事の連想をかき立てるが、さにあらず。単に、契約やら、義務やら、社会規範やらにふれぬよう、大事をとっているだけのことである。ただの神経過敏である。

 

帰りは夕方ごろで、いつもチーズケーキを2つほど買って帰る。もうすっかり癖になってしまった。メープル風味のチーズケーキが好物なのだが、来るころには大抵売り切れてしまっている。それでも他のケーキもおいしいので、不平は言わずに買って帰る。そんな事情を知ってか知らずか、帰り際に店主は「いつもありがとうございます」と言って、ぼくの気持ちを上手に膨らます。

 

夜中の1時だが、これからそのチーズケーキを賞味する。太るぞと止めても無駄である。ああ、なんと罪作りな、業の深い味。